キッチンリフォーム
目次
キッチンは家の中で
もっとも移動をともなう場所です。
冷蔵庫、シンク、作業台、コンロ、食器棚と
短い距離ながら、
こまめに動き続けなければなりません。
そこでは当然、家事導線の効率化が要求されるため
さまざまな形のキッチンからどれを選ぶのか
間取りとのかねあいの中で
とても頭を悩ませることになります。
そんな選択肢に最近はセパレート型とも
II型とも呼ばれる配置がふくまれるようになりました。
いったいどんなキッチンなのでしょうか。
セパレート型とはシンクとコンロ
(またはIHクッキングヒーター)が
別々に配置されたキッチンのことです。
これまではL型であれ、I型(アイランド型も)であれ
シンク、作業台、コンロはひと続きになっていました。
ところがセパレート型は、
例えばシンクと作業台がI型、
もしくはアイランド型の対面になっていて
コンロともうひとつの作業台が
壁つけの背面になっています。
これまでまったく触れたことのない方は、
ふたつに分ける意味があるの、
と頭の中に疑問符が浮かんでいることでしょうが
これは家事導線の短縮につながるキッチンなのです。
例えばI型キッチンで
シンクからコンロへ移動するときに
小さく5歩歩かなければならないのに対し
セパレート型では1歩で振り向き、
次に足をそろえて、
最後に足の位置を整えるといった具合になります。
この導線の短さが最大のメリットになります。
キッチンだけをイメージして
振り向きながらの移動を考えると
何か特別なもののように考えがちですが
実際には普段誰もが行っている動きでもあります。
キッチンは対面型だけども
冷蔵庫や電子レンジが壁側にあるときは
ターンしながら移動しているはずです。
従ってコンロまでの横移動と
レンジへの移動を比べれば
セパレート型の有利な移動性能が理解できるかと思います。
また、作業台をふたつ取ることができるため、
鍋に投入するだけの状態になった食材は
コンロ脇のスペースに移動させるような
使い分けができます。
この、ふたつの作業台のおかげで
複数人での調理を行うこともできます。
子どもが材料を洗って切り、
ママが火加減を見ながら味を調えるといった
楽しい料理が想像できます。
他のキッチンにはないメリットとして、
対面として設置されたシンク側のキッチンには
レンジフード(換気ダクト)が不要なので、
見た目にも開放的な作業台になります。
最大のデメリットは
通常のキッチンより
広いスペースが必要になることです。
作業台をふたつ取ることがメリットにつながるため
その分のスペースが要求されます。
また、シンクからコンロまでが横移動であれば
洗い立ての食材を鍋に投入するときでも
水滴が床に垂れることはありませんが
セパレート型は床を汚す可能性があります。
複数人での調理の時にも注意が必要です。
例えば、鍋などを持って移動するとき、
横移動であれば横目で相手を確認すれば済みますが
振り返る場合は後ろに目がありませんから
しっかり相手を確認するか、
一声かけてから移動しなければ
相手と衝突する可能性があります。
小さなお子さまがまとわりついてくる家庭でも
同様の理由から注意が必要です。
・他のキッチンと比べてみて
セパレート型は対面キッチン、背面キッチンの利点を
合わせ持ったキッチンですが
同時にデメリットも合わせ持っています。
対面型のように
リビングの人と向き合いながら調理できますが
リビングへ移動するときにはキッチンを
迂回しなければなりません。
背面型のように調理に集中したり
調味料などを手近に並べることができますが、
リビングに背を向けているため、
孤独な感じになります。
セパレート型は調理時の移動を
短くするためのキッチンです。
当然のことながら、それぞれの配置が重要になります。
セパレート型にしたいがために
コンロを離れた場所に配置したりするのは
本末転倒です。
また、ふたつのキッチンの距離も大切です。
離れすぎれば移動距離が伸びますし
くっつきすぎれば腰から下の収納活用が面倒になったり
複数人の出入りがしづらくなったりします。
したがって、自分の使い勝手に合った
ちょうど良い距離を見つけなければなりません。
ほんの少し場所が変わるだけで、
使い勝手は大きく変化します。
これまで見てきたように
セパレート型キッチンは
特別なキッチンというわけではありません。
シンクとコンロの移動距離短縮という要求の中で
考え出された形です。
もし、あるていどのキッチンスペースが確保できるのなら
選択肢のひとつに加えても良いかもしれません。
キッチンは住まいにおいて、価格、存在感とも
大きなウェイトを占めるものです。
選ぶバリエーションが多い方ほど
自分に合ったキッチンも見つかる可能性が
高くなるのですから。