トイレリフォーム
和式トイレの良さって何？
新築のお家で和式トイレを見かけることは
まずありません。
よほどの好みでもない限り、
ほぼ100パーセント洋式トイレが付いています。
もはやトイレ、イコール洋式と言っても
過言ではありません。
和式スタイルのトイレを見かけるのは
古いアパートや
公衆トイレに限られつつあります。
この和式トイレ、
本当に絶滅危惧種になるほど
デメリットばかりのものなのでしょうか。
洋式の流行に流されているだけではないのでしょうか。
今回はそのあたりを見極めたいと思います。
和式トイレとはスリッパに似た形で
前側に金隠しとよばれる
半球形の出っ張りが付いている。
この出っ張りは、
昔、後ろ側にあった、
着物を汚さないために
引っかける“きぬかけ”が
変化したものと言われています。
くみ取り式から水洗になった今では
流し水を受け止める役割りもになっています。
一口に和式と言っても
学校や公共施設で見られる
まったくの平らな床に埋め込まれたものと
一段、段差をつけて
男性小便器を兼ねているものがあります。
かつて一般家庭で普及していたものは
この段差のついたトイレです。
昭和の“団地”と呼ばれるアパートは
ほとんどがこのタイプでした。
和式トイレのメリットとして
便器周りに陰となる場所が少ないため、
掃除のしやすさを挙げる方が多いようです。
また、かつてのトイレはタイル張りが多く、
水を流して床全体を洗うことができました。
そのため、隅には排水口が設けられていました。
けれど、最近の洋式も
掃除のしやすさを前面に出した商品が多く
そんなにアドバンテージはないものと思います。
他には洋式の便座のように
肌に触れる場所がなく
衛生的だという意見もあります。
確かに公共のトイレに和式が多いのは
このためではないでしょうか。
けれど便座ヒーターが入っている洋式トイレのように
触れることで暖を取ることができる利点もあります。
お尻をむき出しにする和式は意外と寒く、
温もるためには、
他に暖房を入れなければなりません。
また、和式だと排便時の姿勢が理にかなったものになる
という意見もあります。
これは確かにその通りだと思います。
けれどしゃがむ姿勢は時間が長引くと
辛くなってきます。
ズボンを膝の裏に挟んでいるばっかりに
足がしびれてしまうこともあります。
それに排便時に息んで血圧が上がっているところで
立ち上がれば立ちくらみを起こし
転倒事故につながりかねません。
洋式より溜まり水が少ないため
大便時のお釣りは少ないかと思います。
ただ、家庭用としては和式を選ぶ理由になるほどの
メリットとは思われません。
和式トイレのデメリットとしては
しゃがむ姿勢が妊婦さんに辛くなります。
お腹が大きくなってくると
後ろに転倒という事態になりかねません。
もし和式トイレのお宅に
妊娠中の方がいらっしゃいましたら
和式でも洋式のように座ってできる
後付けパーツを付けると良いでしょう。
また、この姿勢が辛いとおっしゃる高齢者も
お見かけします。
手すりを付けてあげればよいのですが、
一般的な段差付きの和式の場合、
バリアフリーにはほど遠いものがあります。
タイル張りで丸洗いできる和式では
洗った水が外へでないように
入り口にも段差を設けていることもあります。
万が一にもトイレが詰まり
水が流れなくなったら、
和式は埋め込まれていることが多いため
詰まりを解消するのに工事が必要に
なる場合があります。
他にも常に便器の底が覗かれるのが
イヤだとおっしゃる方もいらっしゃいます。
和式トイレは在来工法がほとんどで
モルタルやタイル張りが多く、
冬寒いのも難点です。
ヒートショック対策を考えれば
何らかの暖房は必要だと思います。
温水洗浄便座が使えないのも
選ばれない理由かも知れません。
海外からの観光客が
必ず日本の快適設備として
数えあげてくれる
設備が使えないのは
マイナスポイントといえます。
こうやって見ていくと
和式トイレが減少するのもうなづけます。
日本の洋式トイレは、
和式トイレのデメリットを
ことごとくクリアしているからです。
特に、今後バリアフリーのトイレに
リフォームしようと考えているご家庭では
和式トイレは決して選択肢の中に入りません。
超高齢化社会といわれる我が国で
高齢者に適さないモノは喜ばれないようです。
また、アパート住まいの若い夫婦であれば、
大家さんに洋式に交換して欲しいと
たずねてみてはいかがでしょうか。
和式トイレのアパートは敬遠される傾向にあります。
大家さんの方もリフォームのきっかけを
待っているかも知れません。
公衆トイレに和式が多いのは
長く居座ることができないように
するためだともいいます。
和式の欠点を
うまく利用しているのでしょうが
ご家庭で和式を使われている方にしてみれば
複雑な気分になることかも知れません。
