高齢者に優しい浴槽って？

高齢者に優しい浴槽って？高齢者向けバスタブ選びのポイント。

浴室は滑りやすい中で
立ったり座ったりしなければならず、
バランス感覚や筋力が衰えた
高齢者の転倒リスクは高まります。

特に大きな動きを要求される
浴槽への出入りは
水の抵抗も加わって
かなり気をつけなければならない状況となります。

高齢者は少しの骨折でも
その後の歩行や認知に影響を与える
健康人生を左右してしまうような
重大障害の原因になりかねません。

今回は高齢者向けの
浴槽選びのポイントを挙げてみたいと思います。

・浴槽の大きさ
バスタブの長辺は
中に座った時に、
足が反対側の壁に着く長さが目安となります。
これは高齢者のお尻が前方に滑るのを防ぐためです。

高齢者の中には、
お尻が前にずれて沈んだら、
自力ではい上がることができずに
溺れることがあるからです。

浴槽の長さは事故に直結する可能性があるので
特に重要です。

バスタブの短辺は通常、浴槽内にある持ち手と、
反対側のフチがつかめる幅におさえます。

幅がありすぎると、
両手でつかんでも体が起こせず
余分な力を必要としたり
無理な体勢を強いられて
事故につながったりします。

深さは底にお尻をつけて首が出るぐらいにします。
実際の入浴時に肩まで浸かるのは
水圧で血圧が上がったり、
心臓に負担がかかったりするので
浅めの湯船でも問題ありません。

従って肩まで十分に浸かることのできる
和式の浴槽は高齢者向きではないといえます。

・浴槽の形状
背もたれ部分は体が滑っていかないように
角度が立っているものが良いでしょう。

いったん腰掛けて
体を安定させてから中に入れるように
フチの一部分に
腰掛けスペースを設けた製品もあります。

サイドのフチはつかまりやすいように、
幅が狭くなっているものが良いでしょう。

洗い場から浴槽へ
またぐ高さは40～45センチのものが多いようです。
中にはまたぐ部分を特に低くしているものもあります。

フチの高さは低いほど良いように考えがちですが、
洗い場の風呂椅子を利用して入浴する方もいらっしゃいますので
ある程度の高さがあった方が良いようです。

通常、洗い場よりバスタブの底が低くなっていますが、
最近では高さをそろえた商品もあります。
バスタブの方が深いとつんのめってしまうこともあるので、
その辺りを考慮した製品です。

・手すり
手すりはフチを持つことができない壁側の1カ所は必須となります。
バータイプのほか、
手前に角度を付けたハンドグリップタイプがあります。

浴槽内手すりの上の壁には、立ちつかまり用の
L字型手すりがあると良いでしょう。

浴槽内のバータイプの上に
平行な手すりがもう一本必要なの？と
不思議に思うかも知れませんが、
浴槽内は体を安定させたり、
体を起こす場合に必要なのに対し、
壁の手すりは立ったり座ったりするのに
必要という具合に役割が異なります。

ムダと思わす、
高齢者の立場で取り付け位置を考えましょう。

後付けの手すりはDIYで可能な場合もありますが、
壁の材質によって付かなかったり、
取り付け方法が変わる場合もあります。

たかが手すりと思わずに
高齢者が全身を預ける
大切な支えと考えて、
専門の業者に頼むのも選択肢のひとつとなります。

・設備関係
栓の開け閉めがは
手元のワンプッシュでできるタイプを選びましょう。

姿勢を変えることなくお湯を抜くことができて
さらにチェーンなどの余計な部分がなくなるため
リスク軽減につながります。

チェーン式のチェーンが切れた場合は
高齢者にとって無理な体勢を強いられる
厄介なものとなります。

バスタブの底は滑らないような加工をしたものか、
滑り止めのマットを敷くのが一般的です。

防滑加工は過信せず、
マットは規格に合ったものを使います。
規格外のマットはかえって危険です。

・まとめ
家を建てた時、
マンションを買った頃には思いもよらなかった
浴槽のリフォームが
年を重ねる内に必須となってきます。

高齢になれば筋力やバランス感覚のみならず、
視力や聴力など
周囲の状況を感知する部分の衰えから
ケガにいたることも珍しくありません。

浴室は健常者でも事故の多い場所です。
それを高齢者に優しい場所へと
リフォームするのですから、
自分たちだけで完結せずに
専門家との相談も欠かさないようにしましょう。

超高齢化社会の現在、
バスタブひとつとってみても
さまざまな製品が販売されています。

設置場所や、
介助の有無など
さまざまな状況を考慮しながら
選ぶ必要があります。